30人の壁に挑む。HOPと歩んだフラッグシップの成長物語

通勤のための長い電車移動をなくしたい」、「ムダな業務や決まりごとをなくしたい」、「『違い』で差別されない世の中にしたい」。

そんな価値観を掲げているのが、フラッグシップ株式会社。

フラッグシップは少数のエンジニア集団から始まった会社で、専門的な技術知識がなくても本格的なECサイトを構築できるプラットフォームShopifyのサービス展開を、黎明期から日本でリードしてきました。

2013年には日本国内で初となるShopify Expert認定を、2018年には国内初のShopify Plusパートナーに認定された経歴を持ち、Shopifyの専門性を高めながら、マルチリンガルな多国籍チームへ発展しています。HOPはそのチームビルディングに伴走してきました。

理念は、「まだない地図をつくる」。チームとして、前例のないチャレンジに挑み続けています。

代表を務めているのは、神馬光滋(じんば・こうじ)さん。

2012年の創業時から三つの価値観を掲げ、会社を成長させてきました。

今回は会社の人事制度構築等の過程を共にしてきたコーポレート・コミュニケーショングループのグループリーダーである仁井谷晴加(にいたに・はるか)さんにも同席してもらい、HOPとともに社内改革を進めてきた経緯と、率直な感想を聞いていきます。

本記事は、カンパニーエディター(エドゥカーレ)が取材・編集を担当。

HOPの伴走を通じて、フラッグシップがどのように変化していったのか。そのプロセスを、代表の神馬さんと、社内外のコミュニケーションデザインを手がける仁井谷さんへのインタビューを通じて紐解いていきます。

​取材・編集 / エドゥカーレ

お話を伺った人

神馬光滋さん

1989年生まれ、幼少期をネパール・米国で過ごす。2012年、Web開発スタジオ フラッグシップを創業。2017年からはShopifyを主軸とするEC支援事業に特化し、日本におけるShopify Plus開発をリードする。2024年にはマーケットプレイス領域の専門性も身に付け、日本初のMiraklソリューションパートナー認定。最近の研究領域は、AI時代におけるECの在り方の変容。

仁井谷晴加さん

東京藝術大学音楽学部音楽文化学専攻アートマネージメント科修士課程修了。修了後はクラシック音楽団体のマネージメント業務、アフォーダブルラグジュアリーブランドでの販売業務を経験。現在はフラッグシップ株式会社のコーポレート・コミュニケーショングループで、社内外のコミュニケーションデザインを手がけている。


自由な会社を作りたい。フリーランス経験が生んだ創業のきっかけ。

フラッグシップ株式会社が創業するきっかけは、神馬さんがフリーランスで友人と一緒にウェブ開発スタジオを始めたことだった。

その時に感じていたことが、会社の理念を決める契機となる。

「周りの同期はみんな大きい会社に就職したり、大学院に進学したりするわけですよ。もちろん皆さん活躍しているんだけど、組織に馴染むために苦労している。」

「私なんか、そもそも朝早く起きるのが無理な上に、スーツを着て満員電車で出社したくないって思っていて。朝早く起きたくない、スーツ着たくない、通勤したくない。その三つを満たせるところなんてないなっていうところから、自分で会社を作っちゃったほうがいいんじゃないと思って、フラッグシップを創業したんです。」

全社イベントの様子

創業したのは2012年。日本ではスタートアップが世に出始めて、学生起業なども世の中に知られるようになっていた時だった。

とはいえ、周囲のいわゆる一般的な就職への流れに違和感を感じ、学生での起業という形で実際に行動したのは、神馬さんの素晴らしいところであり、とても感動したと、のちにHOPの畑さんは語っている。

「特に印象的だったのが、Facebookの創業者マーク・ザッカーバーグの話をまとめた『ソーシャルネットワーク』という映画。」

「一軒家でエンジニアたちがひたすらソフトウェアを作っていて、みんなが一緒に住みながら働いているみたいな。それだったら通勤も必要ないしスーツも着る必要がない。当時はそういうものに憧れのようなものを持っていたのかなと思います。」

合理的ではないルールのもとで疲弊する生き方はしたくない。当時の神馬さんはそんな感覚を持っていたと振り返る。

理不尽なルールはもういらない。組織運営で大切にしている「自由」と「多様性」。

「通勤のための長い電車移動をなくしたい」「ムダな業務や決まりごとをなくしたい」、「『違い』で差別されない世の中にしたい」。

二つ目の「無駄な業務や決まり事をなくしたい」という基礎理念は、神馬さんの学生時代の経験から生まれている。

「小2から6年間くらい海外で育って。その後は日本の公立中学校に入ったんですが、靴下は白くて長くなきゃいけないとか、整髪剤つけちゃいけないとか。もちろんそれには理由があったと思うんですが、その理由をちゃんと相手に説明せずにルールが存在していることに違和感と理不尽さを感じたんです。」

「理不尽を感じる環境が長続きするはずがない。なので自分の会社では、チームとして合意できないようなルールはないようにしたいし、いわゆる一般的な会社にある、朝礼なり服装のルールなり、合理的かどうかの領域を超えたものに縛られない環境をつくれたら、社会人ってもっと楽しいんじゃないかなと。」

「違いで差別されない世の中にしたい」というのも、幼少期に海外で過ごした経験から。

現在も世界的に問題となっている差別問題。肌の色や見た目の違いによって区別されたり、疎外感を感じたりすることに対して理不尽な思いを持ったと同時に、自分たちが排他的になってしまう怖さも感じたそう。

自分とは異質なものを排除する。そうなりがちな人間の特性がわるい方向に発揮されないよう、神馬さんは会社の価値観の一つとして設定。

フラッグシップのメンバーが多国籍であるのも、この理念に惹かれて加入した人が多いからだという。

加えてバリューとして定めたのが、『Start with Hacker Spirit』(今日の自分を乗り越え、新しい境地を開いていく、『Be Professional』(信頼を積み、自分を信じられるようになる)、『Pay it forward』(授かった以上のものを渡し、学んだことはインターネットに記録していく)という三つ。

これもフラッグシップの特徴をよく表している。

伴走者HOPとの出会いから始まった組織改革。

そんなフラッグシップがHOPと関わりを持つようになったのが、2023年頃。きっかけは30人の壁に直面したことだった。

30人の壁とは、「社員一人ひとりとのコミュニケーションが減ってしまった」、「立ち上げ時からの社員と中途採用した社員の間に、溝があるような気がする」といった問題が、ちょうど社員数が30人ほどになった時に出てくるというもの。HOPもよく相談される課題の一つだった。

神馬さんもその問題に直面し、どう乗り越えていくべきか苦悩していた。

そんなとき、新橋の居酒屋で知り合いにその話をした際に、HOPを紹介してもらったそう。

「HOPのお二人にお会いしていろいろお話して、我々が目指したい会社像に向かうためのヒントをお持ちの方々なんだなと感じたんですよね。紹介してくれた人がとても信頼できる人だったのも大きかったですし、特に他の会社さんと比較してとかもせず、ぜひお願いしたいと思ったんです」

最初に相談した内容は、30人の壁から出てくる問題をどうすればいいかということ。

「全ての従業員を直接マネジメントできなくなり、それによって細かいところを見れなくなって、コミュニケーション不足とか、人事評価の機能不全、労務トラブルの増加、人間関係や企業文化のずれが生じてしまう。」

「実際にうちでもそういう問題が起こってしまっていたので、それをどうしたらいいでしょうというところから相談させてもらいました。あとは学生時代のラップをしていた経験とか。いろんなことを話しましたね。」

HOPの二人は、フラッグシップが抱える問題解決をしたいと思うと同時に、学生ながら社会の流れに違和感を感じ学生起業したこと、神馬さん自身が差別問題を肌で感じ、その経験を会社の価値観に活かしていることに共感し、伴走することを決めたそう。

神馬さんのパッションが、HOPの二人の心を動かした。

権限分散と評価制度。チームでつくる働きやすい会社。

実際にメンバーの話を聞いてみないとわからないということで、メンバーの8割ほどにHOPがオンライン・オフラインでインタビューを実施。その分析レポートをつくった。

「自分たちの会社について、外部の視点からここまでしっかり分析・整理されたレポートは初めてで、まずその完成度に感動しました。」

「一番強調されていたのは、いろいろな問題が起こっているその根幹にあるのは、ワンマン経営の在り方じゃないか、という提言でした。その解決方法として、経営チームを組成するのがいいと診断してもらって。一極集中型ではなく、複数名で構成されている経営会議があって、より権限を分散して、それぞれのチームを機能させるというコンセプトをご教示いただきました。」

サポートしてもらったなかで印象に残っていることはなんでしょう?

「HOPさんとは組織全体のコンサルティングのほかに、『人事の寺子屋』という学びの場を通じて、経営の本質を教えていただきました。」

「チームがどのような時に動き、変化するのか。そもそも働くとはどういうことか、といった根本的な問いから、採用や面談での実践的なポイントまで、幅広く学ばせてもらったんです。経営者としての視座が大きく変わった体験だったと思います。」

このとき、すでにフラッグシップに所属していた仁井谷さん。

HOPとの改革をどのように見ていたのだろう。

「社員として、人事制度がちゃんとあったほうがいいと思っていたんです。分析レポートの中で、経営チームと同じくらいの重要度で人事制度の整備が語られていたので、それは本当に大きいポイントだったと思います。」

しっかりとした評価制度を伴った人事制度があることで、働く側としても、ここまですればいいんだ、という基準を明確に理解することができる。

また人事制度の策定には、神馬さんの『違いで差別されない』という理念の背景にある経験も活かされており、HOPとしてもかなり想いを込めてつくったという。

その基盤ができたことで、社員も納得感を持って働きやすくなったと仁井谷さん。

経営メンバーの合宿にて

リーダーが持つ権限の分散については、最初に各部門のグループリーダーが組織図とセット、かつ所属メンバーとのマネージャー業務が伴う形で決められ、仁井谷さんはコミュニケーション部門のマネージャーとなった。

「2年ぐらいチームで意思決定していく仕組みが走ってきたので、それぞれのグループリーダーが自分の意見を持って意思決定することができるようになってきたかなと思います。最初の頃は本当にみんな手探りだったのが正直なところですね」

ここで神馬さんが話を補足してくれる。

「最初の1年間は、新たに作られた経営チームの会議にもHOPさんが同席してくださって。経営チームが未熟な中で、意思決定の方向付けをしてくださったり、具体的な助言をしてくださったり。それは私達にとって大きな学びだったと思います。」

「HOPさんのように組織のいろいろなお作法を知っている方々が導いてくれたのは、必要なプロセスだったなと。この伴走がなかったら、今のように独り立ちするのも難しかったんじゃないかな。」

評価制度に関しても、パーパス、バリューに基づいてそれぞれが目標を設定し、設定した目標の達成度と、バリューをどれだけ体現しているかを評価の仕組みに。

これも最初は戸惑う社員がいたものの、それまで社長だけで決めていたやり方より基準が明確でプロセスも見えやすいため、運用していくなかで理解度が深まってきている感覚があるという。

HOPによるDiSC研修の様子

「各役職ごとの職務権限や組織図が改めて明確に整理できたことで、自分の役割や、公式的に誰に頼ればいいのかがわかりやすくなって。曖昧さをいい意味で減らせる大きな要素だったと思います。あとは制度の細かい部分を整えていって、メンバーにとってより寄与できる方向に活用していくというのが、現在進行形で継続中の課題になりますね。」

能力の凸凹を活かす。フラッグシップが追い求める幸福の形。

最後に、神馬さんへ会社としてどんな方向に向かっていきたいと考えているのか、長い目線での話を聞いてみる。

「仁井谷をはじめとしたコアメンバーと話していることとしては、能力の凸凹が当然どの組織でもあると思うんですが、それをうまく活かして、各々が最大限力を発揮できる。そして最大限幸せな状態、あるいは最大限不幸ではない状態をどうやって作れるのか、というのが追求すべきテーマだと思っています。」

「一方で、今話したところまでは言語化できているんですが、たとえば能力的に目標に達せられない人財がいた時に、ただ努力しろって言うのはちょっと違うと思っていて。組織の中の一人として、どうアプローチすればいいのかっていうのは、個人的にまだまだ理解できていないのかなと。ここは自分も成長していくべきところかなと思っています。」

自由と多様性を大切に、HOPとともに歩むフラッグシップ。

インタビューを通して、フラッグシップが大切にする理念は、HOPの伴走によって組織の中で確かに息づいていることが感じられた。

壁を越え、今も進化し続けるチームの姿は、これからも多くの可能性を秘めている。

(編集 / エドゥカーレ)

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