【人事の寺子屋・卒業生の声】サングラスを外すように。人事の寺子屋が照らした見えなかった世界|住友商事・望月雅志さん

総合商社・住友商事株式会社からソーシャルインテリアに出向しているのが、望月雅志さん。現在は経営企画の責任者という重要な役職を担っています。

望月さんはHOPが運営する「人事の寺子屋」の卒業生です。タイでの事業会社経営や社内起業などのさまざまな経験と、人事の寺子屋での学びを掛け合わせ、活躍の幅を広げています。

人事担当者ではなくとも、「人事」は経営に関わる上で重要な要素になる。望月さんの働き方や考え方には、そんな可能性が多分に含まれていました。

本記事は、カンパニーエディター(エドゥカーレ)が取材・編集を担当。

「人事の寺子屋」での学びを通じて、望月さんが営業や経営という分野に、どう人事の考え方を取り入れ、自身が変化していったのか。そのプロセスを、インタビューを通じて紐解いていきます。

取材・編集/エドゥカーレ

お話を伺った人

望月雅志

1999年住友商事入社、アパレルの貿易取引、テレビ通販のメディア営業、タイでのジョイントベンチャーの設立、運営を経験。現在は家具、空間デザインの領域で世の中へのポジティブインパクトを目指す「ソーシャルインテリア」に出向中。経営企画責任者を務める。

人事は経営そのものである – 寺子屋で学ぼうと思った理由

望月さんが人事の寺子屋と出会ったきっかけは、HOPを創業した畑さんとの出会いだったそう。7年ほど前、住友商事の100周年プロジェクトを担当した際に紹介されたのが、HOP創業前の畑さんでした。

「お会いしに伺ったんですけど、そのときたまたま名刺を忘れてしまって、えらく怒られたのが忘れられないですね(笑)。そのとき僕が考えていたアイデアを話したら、それは大変だからやめなさいと。代わりに『かるたをつくるといい』って話になったんです。なんでかるた?と思ったんですけど(笑)。僕も面白そうだなと思って、社内に持ち帰って実際に『住商100年かるた』を企画してつくりました」

会議室に今でも大きなカルタが展示されています
住商100年かるた(SC 100years Karta)

その後親交を深めていった望月さんと畑さん。畑さんがHOPを立ち上げたのをきっかけに、望月さんも人事の寺子屋に参加することに。

とはいえ、望月さんは人事の経験はなし。ただ、タイで事業会社を立ち上げたり、投資をしたりするなかで、人事にも興味を持っていたそう。とくにHOPの岩崎さんが話した「人事は経営そのもの」という言葉は、望月さんの心に深く刺さりました。

「僕は営業がメインの人間なんですよ。人事なんてやったことないけれど、お世話になった畑さんや岩崎さんが言うなら、『人事は経営そのものだ』っていうのもそうなのかなって。あとは経営する上で人事は必要不可欠だっていうのも、経験上感じていたのも参加した理由の一つでした。」

内面からの変化 – 「まわりが見える」ようになった瞬間

寺子屋の様子 望月さん(写真右下)

望月さんはこれまで2回、人事の寺子屋に参加しています。事業会社に出向することが決まり、本格的に経営に関わる役割になったことで、学び直しの意味も込めて2回目の受講も決めたのだとか。

「めっちゃ良かったですね。教わったことがすぐ翌日から使えるような感じ。岩崎さんのパワポを活用させてもらって、社内で研修したくらいすごく刺さりました」

めっちゃ良かった、という部分について、詳しく教えてもらいたいです。

「そうですね…人事の寺子屋って、人事のことも学ぶんだけど、もっと広く会社とは何か、経営とは何か、みたいなことを岩崎さんが語ってくれて、それを人事的な側面から畑さんが補足してくれる。そんな構成なんです。いま自分は経営企画の責任者なので、寺子屋での学び方がすごく腑に落ちるというか。自分ごとになるんですよね

自分ごと化する、と。

「そう。うちの会社だと、マネージャーもプレイングマネージャーで。そもそもマネージメントとはどういうことか、みたいなことも寺子屋でやるんですけど『経営というのは見ること・考えること』って岩崎さんがおっしゃるんです。それは僕も現場でよく伝えるようにしていて。学びが実地で使えて、自分の血肉になっている感覚はありますね。」

経営という大きな枠組みのなかから、人事を位置付けていく。経営の全体像を俯瞰しつつ人事の意味づけを学んでいくスタイルが、望月さんには合っていました。

「寺子屋に行って変わったことをあらためて言語化すると『まわりが見えるようになった』かな。頑張りすぎなくてもよくなったように感じます。それはつまり、人のことをよく見てよく考えるようになったから、まわりの人に頼ったり、自分の仕事に余裕ができたりするようになった。それ以前は余裕なく仕事をしていたんでしょうね。」

組織がいまどうなっているのか。それぞれの働く人たちがどういうことを考えているのか。起きている現象をしっかり観察する目を持てるようになったことで、個別最適と全体最適を考えて行動できるようになったのが、望月さんの学びの成果でした。

ほかにも、自分自身が変わった、と感じることがあったと望月さんは話します。

「昔よりは遥かに多様性を受け入れられるようになりましたね。タイで事業をはじめたときに失敗してしまった原因の一つは、それまで似たタイプの人と仕事をする機会しかなかったからだと思っていて。タイだと、言葉も文化も違う。一人ひとりが違うっていう、いま思えば当たり前のことに当時は対応しきれなかった。野球で言うと、ストライクゾーンが狭かったわけで。いまはそれぞれ違うことがいいことなんだって実感しているので、ボールがどこに来てもストライクゾーンで受け止められるし、一球一球に意味があると思えるようになれたかなって思います。」

出来事や、人間関係との向き合い方も変わりそうですね。

「そうですね。コンフリクトマネジメント、要は喧嘩の仲裁みたいなことってわりとあるんです。あいつがああ言ったとか、むかつくとか。昔はお互いの話を聞いて喧嘩両成敗だよね、みたいなふうにして、喧嘩を課題だと捉えて、収束させることを急いでたような気がします。でも最近は、課題と捉えていなくて。そこに波が立っているのは逆にいいことで、何かいい変化のきっかけになり得ること。なにもないよりはあったほうがいいみたいな。そんな感覚になっています。」

嫌なところも、愛していく。対立を調和に変える関わり方

寺子屋での学びのなかでは、畑や岩崎の言葉が印象に残っているという望月さん。たとえば、先ほどの喧嘩の話も「仲違いは愛」という言葉から感じたことだったのだそう。

「『人事は愛だ』ってよく言われるんですよ。人事っていうのは、そこにいる人たちを愛する仕事だって。今は、それは本当にそうだなって思いますね。」

人事は愛。抽象的だけれど、すごく深い意味を持っている言葉に感じる。望月さんがその言葉が腑に落ちるのはどうしてなんだろう。
「最初に聞いたときは、そういう考え方もあるよね、くらいだったんですが、最近は本当にそうだなって思うようになってきていて。同じ会社にいる人って、何かしらご縁がありますよね。そのご縁は大事にするのがいいなって思うんです。」

人の縁は何事にも代えがたいもの。せっかく共に働くご縁があるのだから、その人たちには愛を持って接し、仕事をしたい。人事にはそれを促進する力がある。

「結局、やらされ仕事ではその人の力が出ないんですよね。能力があるだけでも、やる気があるだけでもだめで。両方がないといけない。楽しく一生懸命働いてもらうには、それらがバランスよくないといけないんです。楽しくなくても一生懸命やる人もいるけれど、そういう人はそのうちいなくなってしまう。そう考えると、大切なのはその人の存在自体を尊重することによって、ポテンシャルをどれだけ発揮してもらうかということだと思うんです。

望月さんの言葉は、とてもシンプル。けれどそのなかには深い意味が実感と共に込められているように感じます。

ある人のことを嫌だなって思っていたとしても、嫌なところも含めて尊重する。たとえば上司と部下でも折り合いが良くない場合があるじゃないですか。原因は双方にあったとしても、お互い主義主張がある。それを無理に変えようとしないのが大事だと思うんです。どちらも何かを犠牲にせずに、調和させていく。これはある意味経営でもあり人事でもあって。このあたりはすごく踏み込んでいますね。」

なるほど、調和が大切なんですね。
「上司の人は部下を管理したい。何が起こってるかすごく細かく知りたいし、進捗管理をしたいんだけど、それをされる人は窮屈であると。そのときに、上司が管理したいのはなぜか、ということには理由があるはずだし、部下が窮屈さを感じるのはなぜか、というのも理由があるはずで。お互いの一側面が対立しているだけで、全体が対立しているわけじゃない。なので対立している部分はすり合わせしながら、そうではないところもあるよねって自覚を促す。それが調和に近づくための一つの方法なのかなと思います。」

気づかないうちにかけていた“思い込みのサングラス”を外す。人と組織を変えるには、まず自分自身から

ここまで、人事の寺子屋を通して望月さんにどのような変化があったかを掘り下げてきました。あらためて、人事の寺子屋にはどのような価値があるのでしょう。

「経営する人は本当に受けるべきだと思います。経営者であっても、経営のことを最初からわかっている人って多くないと思っていて。純粋性っていうのかな。何のために、どうやって経営するのかみたいなところ。HOPがしているのは、そういう純粋性とは何かを語ることだと感じているので、経営者にとっては非常に意味があることだと思うんです。」

見え方が変わる、という感じでしょうか。

「見え方が変わるというよりは、普段はサングラスをかけていることに気づいていない人が、一旦外してみる機会になる。そんなイメージじゃないかな。」

見なかったもの、見えていなかったもの。気づかないうちに視界を狭めていたフィルターを一度外してみることで、経営するなかで見える世界が変わる。それは自分自身や組織にいい影響を及ぼし得ることなのだろうな。

「いまはカウンセリングにも興味があるんです。いろいろな側面を持つ自分を認識して、受けいれるための手段の一つだと思っていて。世間や誰かの期待から離れて、自分自身のまっさらな輪郭を見つけていくような旅の途中にいる感じです。それができれば、幸福度も高く、パフォーマンスも高い状態になれると思うんです。それって組織づくりにも通じるはずで。それぞれが“本当の自分”でいられたら、自然と組織もよくなっていく。それが、これからやっていきたいことの一つですね。」

本当の自分でいられることが、組織の力にもつながっていく。

望月さんのように、自身の内面と向き合い、受け入れる姿勢こそが、私たち一人ひとりの幸せな働き方につながっていくのかもしれません。

人事の寺子屋で学んだ望月さんの考えに、あなたはどんなことを感じたでしょうか。

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