2025年も、残すところあとわずか。
HOPでは「世の中に良い会社を増やすこと」を目指し、クライアント企業への伴走や社会人の学び舎「人事の寺子屋」の運営など、今年もさまざまな活動をしてきました。
その中心にいる、畑敬子氏と岩崎春夫氏。
まったく違う性格と言われる二人ですが、根っこにある想いは同じ。HOPの思想と実践は、このコンビから生まれ、育ってきました。
本記事は、カンパニーエディター(エドゥカーレ)が取材・編集を担当。
2025年を振り返り、2026年に何を目指すのか。今年8月のアメリカ出張にも触れながら、少し肩の力を抜いて、語り合ってもらいました。
取材・編集/エドゥカーレ
7年前、ゼロからはじめたHOPは、どこまで来たのか
岩崎
おかげさまでHOPは7期目を終え、11月から8期目に入りました。師走を迎え、創業時のことも思い出しながら、今年を振り返ってみたいと思います。
畑
岩崎さんは、きちんと区切りがないと話せない人だから。そのままだと話が硬くなりそうなので、編集で柔らかくしておいてくださいね(笑)。
うーん…思い返すと、7年前はゼロからのスタートでした。初めての仕事で、コネも顧客も営業の当てもなくて。でも、不思議と「何とかなる」という感覚と自信もあった。岩崎さんはどうでした?
岩崎
無謀なスタートだったなと思っているし、それなりに最初は苦労しましたね。自分たちのやろうとしていることをどう言葉にするか。人に伝えるにはどうすればいいかっていうことをずっと考えていた。
ただ、いろいろな人や会社と出会い、自分たちの伝えたいことが次第に言語化できていきました。そうして、人事の寺子屋をはじめ、共感して集まってくれる人が増えていった。この7年間の大きな成果はそこだと思います。
畑
想いや価値観の軸は、起業したときから何も変わっていないですね。いろんな人に支えられ、人のつながりで、いい人がいい人を呼んでくれた。
岩崎
そうですね。人事の寺子屋もちょうど15期が終わりましたが、回を重ねるごとに伝えたいことが整理され、深く、わかりやすくなってきた感じがする。それは確実に、HOPが成長してきた部分かな。
言葉にすること、伝えること
畑
2025年のキーワードは「発信」でした。自分たちの考えを言葉にして、いろいろな形で多くの人に届けようと意識した一年でした。
そのなかで重要だったのが、海外出張ですね。2024年は年末にフィンランド、イタリア、スペインへ。今年はアメリカのニューヨークとワシントンへ行きました。どちらもすごく学びの多い旅でした。
ヨーロッパ視察は今年の2月に報告会をしましたが、アメリカの報告会はスケジュールが調整できず、まだ開催できていないので、新年には何らかの形でお伝えする機会をつくりたいと思っています。
岩崎
HOPがアメリカで何を見て何を感じたのか。去年ヨーロッパで感じたこととの対比も含め、詳しい話はあらためてするとして、今ちょっとだけ話しましょうか。
ヨーロッパで見た「教育と連帯」と、アメリカという対照
岩崎
1年前のヨーロッパは、ヘルシンキで駐フィンランド日本大使にお会いして、イタリアはブルネロクチネリの本社があるソロメオ村へ、そしてスペインはバスク地方のモンドラゴンという協同組合を視察しました。
意図していたわけではないけど、フィンランドは国家、イタリアは株式会社、スペインは協働組合という、異なる形態の「人間集団」について、考える機会になりました。
そこで学んだのは、どの集団も大切にしていたのが”Soidarity(連帯)”であり、そのための教育の重要性が大きかったということ。
フィンランドは大学まで教育費が無償であり、ブルネロ・クチネリは若者のために職人学校を運営し、モンドラゴンはそもそもバスク地方の貧しい村に赴任した司祭が教育を基盤に経済を興そうとしたのが始まりでした。
人間社会にとって本当に大切なものは何か。それを、国家も株式会社も協働組合も、同じように考えている。その感覚が強く残っています。

畑
そして今年はアメリカへ。岩崎さんがずっと気になっていたんですよね。
岩崎
うん。ワシントンは政治の中心、ニューヨークは経済、特に金融の中心。大きく揺らいでいるアメリカの、世界の政治と経済の中心地の生の空気を感じたかった。
アメリカは、移民とか、金融とか、グローバリゼーションとか、転職とか。“Liquidity(流動性)”を高めることで社会を発展させてきた。
ヨーロッパで感じた“Solidarity(連帯)”と真逆なんです。
百聞は一見にしかず
畑
現地で聞いた話がすごく印象的でしたね。ワシントンでは、トランプ政権になる前は借りられる家があまりなかったのに、トランプ政権になって、政府職員がたくさんリストラされた結果、今は空き家がたくさんある。たった1年で、街の景色が大きく変わったって。
あとはやはり格差社会。ワシントンやニューヨークのような大都会は美しく刺激的でしたが、移動中の長距離電車の車窓から見えた地方の風景は繁栄とは対照的で。置き去られたアメリカの格差や貧困をいやでも感じさせました。
これが岩崎さんが言う、市場原理に偏った資本主義の姿なんだなと。わたしと岩崎さんは物事を見る切り口が違うけど、根っこで感じる部分は良く似ているんですよね。
人事の寺子屋で岩崎さんが言う理念的な話は、腹落ちしていたつもりだったけど、やっぱり百聞は一見にしかず。資本主義ドーンっていうアメリカの現実を見て、あらためて腹落ちしたのが正直な感想です。

ビジネスパーソンを孤立させない、学びの場をつくる意味
岩崎
今の若い世代って、自由な一方で孤独だと思う。昔は会社に入ると、うるさい上司や先輩がいて、なんやかんや言われながらいろいろ教えてもらった。かまってもらえたわけで。
でも今は放置されている。学校を出てすぐにスタートアップに入る人も多いし、ハラスメント問題がこれだけ騒がれると、何か言ってくれる人も少なくなる。自由の名のもとに、ほったらかしにされている感じ。
だから議論できて、意見をぶつけ合える場が必要なんじゃないか。人事の寺子屋もそういう「サードプレイス」の一つだと思っています。そんな場が、社会と自分のつながりや連帯している感覚を持つために必要なんだろうね。
畑
わたしたちがやっていることは間違いじゃなかったんだって再認識できた。教育と連帯って、ずっとわたしたちが言ってきたことじゃんって。
なので、アメリカに行って何かが変わったというよりも、自分たちがしていることは間違っていないということを確認できた感じですね。

畑
岩崎さんが言ったような、学ぶ場所をつくること。HOP自体がポリネーションのきっかけや、場をつくる役割なんだろうなということは、今回の旅を通じてわたしも感じたことでした。
※ポリネーション:「花粉媒介」のこと。農業や生態系維持に不可欠なプロセス。
アメリカ出張はこのほかに岩崎さんの面白いネタもありますけど、それは報告会にとっておこうかな(笑)。
2026年に向けて、もっと広く、もっと遠くへ
岩崎
来年は発信の方法も広げていきたいですね。これまではオフラインの場にこだわっていたけれど、オンラインもうまく活用して、今まで接点のなかった人たちにも広く届けたい。
個人的には本を出版すること。3年がかりで頭の中にあることをだいぶ書き上げたので、これを本にしたいと思っています。
畑
わたしも本を書いてくださいってずっと言われ続け思い続け…。筆は進んでいませんが、より実践的でおもしろい人事の教科書のようなものを書きたいと思っています。
夢は、やっぱり学びの場を広げることかな。ビジネスマンがもっと楽しく学べる学校をつくりたい。夢であり、やらねばならんと感じていることです。
岩崎
あとは後継者ですね。僕らの想いとしていることを継いでくれる人をどう見つけていくか。今後の大きな課題です。
畑
HOPに入りたいっていう人は、意外にいるんですよ。それを現実的にどう受け止めて実現していくかというところですよね。
岩崎
僕ら二人がいなくなったら終わり、ってなると、会社である必要もなくなってしまうので。どうやって次の人たちにうまくつないでいくかが、これからの宿題ですね。
トムとジェリーのように、これからも
畑
岩崎さんに言いたいこと。それは、強い思いで書き上げた原稿があるので、それを早く出版をしてほしいなと思います。
あと忘れたふりをするのはやめてださい(笑)。興味のないことは、すぐ忘れたふりをして困ってるので。
岩崎
はい(笑)。僕から畑さんには、本を書いてくださいっていうことかな。お互い出版が目標ですね。
畑
私たちトムとジェリーとみたいな関係ですから(笑)。仲良しだけどずっと追いかけっこしているみたいな。
わちゃわちゃしながらも、どちらかがいなくなると困っちゃう。私はずる賢いジェリーのほうですけどね。
岩崎
お互いが違うから7年間続いてきたので、これから先も対話と実践。その先に、HOPのこれからがあるんだと思います。
